盲目と、三人の盲目の女(2006)

「美世界」より~盲目と、三人の盲目の女~ 有城佳音 著/有城見萌 ピアノ・朗読  (Chopin Nocturne No.2 Es-Dur Op.9)
盲目の女を目にすると、流れていた時間が止まる…。今まで流れていた時間が偽物の時間で、止まった時間こそ、本当の俺の時間ではないかと錯覚を起こすのだ。
視覚のない世界は、音もない静かな世界だ。そこにだけ特別な時間が流れている。
彼女は言う。「あなたは私が目が見えないから興味があるのよ」
目の見えない彼女の言うことはいつも正しい。 目で見える世界では、誰もが嘘をつく。そのなかでも、俺は自分にもわからないように巧妙に嘘をつく。
彼女は言う。「わたしと寝たら、きっとあなたは今いる時間には戻れなくなるかもしれない。それでもいい?」